歳時記
大原・八瀬(その①) つつましやかな古社寺群が形成する山裾の里 ~「浄土世界に焦がれた世捨て人の隠棲地」は今も静寂に包まて
2009年 11月27日
京都市街の北東山中にあり、かつては貴人や仏教修行者などの隠棲の地として知られた里のシンボリックな存在が三千院。この門跡寺院を挟むように、右手に呂 川、左手に律川が流れている。寺院の前面は見上げるばかりの楓の大木がトンネルを形成し、新緑・紅葉の季節には御殿門を鮮やかに彩る。境内には客殿・宸殿 が、驟碧園と有清園の池泉回遊式庭園がある。とりわけ、有清園の杉木立の中の往生極楽院は三千院を象徴する建築物だと言われている。
三千 院より東へ5分ほど歩くと、慈覚大師が建立して以来、時代の風雪にさらされ続けた来迎院が見えてくる。院内には、藤原時代の黒く煤けた阿弥陀、釈迦、薬師 の三如来像が祀られている。その静かな佇まいは、三千院やその他の周辺の寺院と共に、詩情を秘めた辺境の里・大原の哀調を帯びた深いやすらぎを提供してく れる。
平安貴族の栄華跡に思いを馳せる平等院~稜線と水流に抱かれた「宇治のシンボル」に咲き誇るフジ
京都府南東に位置する宇治市は茶所として知られるととともに、宇治川ラインに代表される観光の町でもある。宇治市の南東部には宇治丘陵の山々がやわらかな稜線を描き、その間を縫って宇治川が流れる。そんな平安貴...
合格祈願で受験生が黒山をなす北野天満宮~雷神道真は学問の神となって今も慕われ続ける
学者や詩人としても非凡な才能をもつ菅原道真は、平安時代に朝廷の要職である右大臣にまで登り詰めた。しかし左大臣藤原時平の謀略により無実の罪で太宰府に左遷され、悲運の死を遂げる。 以後、京都では天変地異...
京都人の日常に遭遇する錦市場~江戸時代開設の市場は、今も活気に満ちた「京の台所」
京都でも有数の繁華街として知られ、デパート・銀行が軒を連ねるビル街の河原町付近は、近代都市の活気に溢れている。錦市場は、その一帯でもっとも人出が多い四条通りの一筋北、寺町通から高倉通りまでの錦小通り...
東山文化の神髄を見せる銀閣寺~簡素枯淡を表象する「冬の世界文化遺産」
哲学者が思策に耽りながら歩いたという逸話が残る「哲学の道」。その北端、白川に架かる銀閣寺橋を渡り、土産物店が軒を連ねる緩やかな坂を上ると、そこが世界文化遺産・銀閣寺である。寺門付近の竹垣は銀閣寺垣と...
古都の日常に包まれた東福寺~洛東の古刹を彩る晩秋の紅葉
京都駅からJR奈良線に揺られること2分で、東福寺駅に到着。京都の街中にある古刹は、歴史ある市民の日常と共にある。通年、観光客で賑わう京都だが、その観光拠点・京都駅に近い割に、新緑と紅葉の季節を除いて...
深緑の古木におおわれた鞍馬~名産と伝説の静寂郷へ
叡山電鉄鞍馬線の終着「鞍馬駅」に降り立つと、やがて花背峠を越えて丹波・若狭へと通じていく街道が曲線を描いている。この地名は「闇部(くらふ)」が転訛したと言われるように、道沿いにはうっそうとした古木が...
古木に包まれた貴船神社~洛北の清流沿いへ
鴨川の水源にあたる貴船川に沿い、古来より水の神様として崇敬を集める貴船神社を通過すると、やがて峠を越えて芹生の里・丹波・若狭へと通じていく。貴船の名物は、夏場、川の上に床を張って涼を楽しみ、若鮎が香...
京の古路・散歩道(9) 京の花街から西陣の機織り町へ
この連載では様々な古路を紹介してきたが、最終回は北野天満宮本殿に近い東門の門前に形成された京花街では最も古い「北野上七軒」を歩いてみましょう。北野天満宮の本殿はその昔出雲の阿国の歌舞伎踊りが初めて興...
京の古路・散歩道(8) あじろぎの道からさわらびの道へ
緑の潤いを感じさせる初夏の季節、宇治川に沿ってそぞろ歩きたい道があじろぎの道とさわらびの道です。あじろぎの道は宇治の平等院前から宇治川の西側に沿って、府道大津南郷宇治線に合流するまでの地点。宇治川を眺...
京の古路・散歩道(7) 千代の古道~鳥と遊ぶ道へ
「千代の古道」は、平安貴族が都から嵯峨野に遊行の折、通った道だといわれ、古来より多くの歌にも詠まれております。しかし、歌などに詠まれている千代の古道が本来どこにあったのかというと諸説があり、研究家の間...